教室について
教授あいさつ
山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座
教授 下村 裕
山口大学医学部皮膚科学講座は昭和22年8月に山口県立医科大学皮膚・泌尿器科学講座として開設され、京都大学講師斎藤忠夫先生が教授として着任されました。斎藤教授は昭和38年に大阪市立大学医学部に転任され、京都大学助教授藤田英輔先生が2代目教授として赴任されました。
昭和41年に同医大の国立移管に伴って山口大学医学部皮膚科学講座と改められ、昭和60年には、本学出身教授として麻上千鳥先生が昇任され、その後、平成9年より武藤正彦先生に引き継がれました。そして、平成29年より私が第5代目教授を拝命し現在に至っております。
教室紹介
山口大学皮膚科学教室の理念は「優れた技術を実践できる経験を伴った叡智を身につけた医療人を育成する」です。すべての皮膚疾患に幅広く対処できるようスタッフ一同が協力体制をとっております。県内唯一の大学病院であるため、県内各地、場合によっては県外から、難治性で診断が困難な症例が数多く集まってきます。診断や治療の難しい患者さんに関しては、なるべく情報を共有し話し合い、考え、数多くの症例について検討するという機会を設け、質の高い診断と治療が行われるよう努力しています。
令和元年度からは、医学部附属病院内において皮膚科と形成外科が分離独立しました。
それぞれの診療科の特色を生かしつつ、連携を取りながら診療活動に従事しています。
教室員紹介
皮膚科
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教授
下村 裕役職診療科長略歴- 平成11年3月
4月 - 新潟大学医学部卒
新潟大学医学部皮膚科学教室入局
- 平成12年4月
- 新潟大学大学院医学研究科入学
- 平成15年3月
4月 - 同修了(医学博士)
新潟大学医学部附属病院皮膚科 医員
- 平成16年9月
- 同 助手
- 平成18年4月
- 米国コロンビア大学医学部皮膚科に留学
- 平成22年4月
- 新潟大学大学院医歯学総合研究科 遺伝性皮膚疾患研究室
テニュア・トラック 准教授
- 平成26年4月
- 同領域開拓研究センター遺伝性皮膚疾患分野 准教授
- 平成27年2月
- 同皮膚科学分野 准教授
- 平成29年1月
- 山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座 教授 現職
- 平成11年3月
-
医療の質・安全管理部 准教授
山口 道也 -
講師
浅野 伸幸(医局長・病棟医長) -
助教
下村 尚子(外来医長)
安野 秀一郎
杉本 紘子 -
診療助教
川上 かおり
鬼束 真美
松田 杏奈
上田 茜
須田 孝博
内田 りり子
青木 裕宇希
大塚 倫代
栗栖 卓哉 -
大学院生
駄阿 也眞人 -
関連病院
田中 由華(周東総合病院)
白水 舞(周東総合病院)
橋本 紗和子(山口県済生会下関総合病院)
須田 文(長門総合病院)
原田 和恵(山口県立総合医療センター)
久本 岳史(下関市立市民病院)
専徳 健太(徳山中央病院)
山田 真理子(山口赤十字病院)
形成外科
⇒形成外科スタッフ臨床・研究活動
『乾癬』に対する治療
乾癬は赤い皮疹の表面に“かさぶた”のようなフケのかたまり(鱗屑)ができて、ぼろぼろとはがれ落ちるのが特徴で、この鱗屑をはがすと出血することもあります。また患者さんの5%程度は関節痛を合併して、ひどくなると関節の変形をきたすことがあります。また肘や膝頭など擦れる部分に皮疹が出やすいのが特徴です。
山口大学皮膚科では、外用治療、紫外線治療、内服治療を行っても症状のコントロールが難しい患者さんに対して、生物学的製剤(注射剤)による治療を積極的に行っています。従来の治療で改善しなかった患者さんも、生物学的製剤による治療でかなりの改善がみられます(ただしすべての患者さんに効くわけではありません)。希望される患者さんは是非一度ご相談ください。
また山口県には乾癬患者会があり、山口医師が相談医として協力しています。乾癬はまだ世間一般に認知されている病気とは言い難く、患者さんの皆さんは苦労も多いと聞きます。患者会では、困っている患者さん同士が、患者さんにしかわからない思いを話し合ったり、また乾癬についての最新の知識を得る、大変よい機会となっています。参加を希望される方は山口医師にご相談ください。
皮膚悪性腫瘍
皮膚科のなかで取り扱う悪性腫瘍には日光角化症、ボーエン病、乳房外パジェット病、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫(メラノーマ)、悪性軟部腫瘍(脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、血管肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍)、悪性リンパ腫、他臓器の転移などがあります。
治療は、外用、放射線、冷凍凝固、手術などがあります。
治療方法は治療を受けられる方の体力や癌の悪性度、位置などいろいろなことを考えながら、方針を考えます。
当科の皮膚科では皮膚科専門医だけではなく、形成外科専門医の資格を持つ医師がおり、植皮術、有茎皮弁形成術、遊離皮弁形成術などを用いて腫瘍を切除したのち機能面や整容面を考慮した傷の治療も同時に行えます。
最近では今まで抗がん剤が効きにくく、悪性度が高いといわれていた悪性黒色腫(メラノーマ)に新しいタイプの抗がん剤治療が適応になりました。
皮膚のしこりやできもの、治りにくい湿疹、潰瘍、古いやけどのあとのただれ、大きくなるほくろやあざなどは悪性腫瘍の可能性があります。組織を採取したり、エコーやCT・MRI・シンチグラフィなどの画像 検査などで診断をします。
診察や検査・治療についてご相談があれば外来までお越しください。
遺伝性皮膚疾患
皮膚病の中には、皮膚に何らかの症状を示す遺伝病(遺伝性皮膚疾患)が数多く存在します。最近の研究の進歩に伴い、それらの原因がかなり明らかになりました。当科でも、さまざまな遺伝性皮膚疾患の患者様の診療活動や遺伝子検査を行っています。さらに、新しい治療法の開発に向けた研究や、まだ原因がわかっていない疾患を対象とした遺伝子解析・機能解析なども精力的に進めています。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹を繰り返す皮膚疾患で、患者さんの多くはアトピー素因を有しています。
近年ではアトピー性皮膚炎の新薬も続々と承認されてきており、治療の選択肢も広がってきています。
当科では患者様の皮膚の状態、治療についてのご希望を加味して一人一人に適した治療を行います。
また重症の方の入院治療も行っています。